アニメ 中二病でも恋がしたい！第11話「片翼の堕天使（フォーリン・エンジェル）」 感想

「なぜ邪王真眼は最強だと言ってあげられないのデス」あんな六花は六花じゃない。凸守よく言った。カラコンを眼帯を外し普通の女の子を演じる六花。自分らしさを押し殺してその場を乗り切る生き方だけはして欲しくない・・・

前回の眼帯をはずし、カラコンを外した六花を見て、六花は愛すべき仲間たちの前から去っていくのかと慄きました。そして今回、普通の女の子を演じようとする六花を、最初はその不器用さを微笑ましく描いています。しかしやはりそこには違和感があり、よそよそしさしか感じない。六花自身はそこにいても心は愛すべき仲間たちの元から去っているのと同じです。その人の魅力というのはその人らしさが正しい方向に放出されていてこそだと思います。勇太も辛いですよね。十花から説得され、母親からは弁当を渡すように頼まれ、六花のためをを思えばいつまでも中二病に浸っていてはいけないという責任を負わされた形になってしまって。でも今無理やり中二病止めさせてその場を乗り切っても悔いが残ると思いますよ。まぁ時間が流れてそういう思いすら薄れていくのかもしれませんが、でもそういった諦めの境地みたいなのは止めて欲しい。中二病を完全燃焼させてそれで燃え尽きて現実世界に降りて来るのなら分かるのですが。諦めの境地に達してしまうと何やっても楽しくないですよ。

今回は凸ちゃんがものすごくカッコよかったね。周りが六花が普通の女の子になろうとしているのを唯一抵抗していました。おそらく六花もかなり無理をしていると思うのですが、本当の六花の姿を取り戻そうと抵抗する凸守に泣けました。一見微笑ましく見える勇太と普通の女の子の喋り方を模索している六花が登校する途中。橋の欄干に腰掛けツインテールをなびかせて「待つデス」と、ライバルキャラの登場シーンさながらに呼びかける凸ちゃん。いいわぁ。しかし六花は凸守のことを「早苗ちゃん」と呼びます。「早苗ちゃんなどと呼ぶなデス！いくデス！」橋の欄干に片足立ちにポージングしミョルニルハンマーを振り回すというかなり危ない行為に走ります。やっぱり落ちかけて勇太に危うく足をつかまれ「もう死ぬかと思ったデス」「すまないデス・・・じゃなくてデス！」ときっちり笑わせてくれました。「爆ぜろリアル、弾けろシナプス、バニッシュメント・ディス・ワールド！マスター、目を覚ますデース！！！」妄想世界のバトルを展開する凸守の攻撃も「私は・・・卒業したの」とつぶやく六花には効かず、幻想世界は車の行きかう現実世界に引き戻されてしまう・・・「凸守は諦めないです。必ず、必ず、マスターを操っている魔物を駆逐し救い出して見せるデス」と鞄を抱えて走り去る凸ちゃんが可哀そう。凸守を見送る六花の物憂げな瞳。勇太は「六花、おまえさぁ・・・」と話しかけますが本当に言いたい「それでいいのか」という言葉を飲み込ん出しまいます。でも「それでいいのか」という言葉は勇太自身に対しても当てはまる言葉ですよね。「それを俺が言うのは無責任な気がした」という心の中の声が痛い。

それでも元の六花に戻ってもらおうと、魔導石と称した石を見せ、電飾の仕込んだ魔法陣にスイッチをいれ、と六花を喜ばそうと振舞う凸ちゃん、健気すぎる。六花も一旦はその石を手に取り目を輝かすのですが。しかし返ってきた言葉は「凸守、今日は大事な話があって来た。・・・この結社、いやこの部は、今日を限りに解散する。それぞれ自由に自分のしたいことをするようにいようと思う。凸守も・・・」という凸守には到底受け入れられないもの。「どうしてしまったのですか、マスター？この結社は不可視境界線を見つけ出し、向こうの世界に行くために必要だったはずデス、マスター、マスター」すがりつく凸守。今回一番感情移入してしまうのが凸守。登場人物のなかで一番素直に自分の気持ちを表していますからね。現実も責任も大切だけど、素直な気持ちも大事にしてあげなくっちゃね。

「なんかさぁ、意地になってんじゃない？富樫くんも、小鳥遊さんも」部室にやってきた勇太にすれ違いに声をかける森夏。この人は決して自分に正直に！とか心地のよい言葉を軽々しくは吐きません。しかし内心は。「はいはい、そういうわけだから、あんたもとっとをマビノギオンを渡して中学に戻ることね。いいからこっち来なさい」と六花にすがりつく凸守を部室から襟首掴んで引きずりだしたかと思うと、部室に戻ろうとする凸守を胸に抱きしめ、「よしよし」とあたまを撫でます。当初は過去の中二病歴を抹消しようと忌まわしき過去の遺物、マビノギオンを持つ凸守に敵対するという香ばしいキャラだったのにいつの間にこんな見守り系お姉さんキャラになってしまったのか。クラスメイトと打ち解けようと会話に混ぜてもらおうとする六花を不満そうに見つめていたり、勇太と二人で委員として図書の整理をさせらレている時に「富樫くんさぁ、後悔してない？小鳥遊さんのこと」ってさり気なく聞いたり、と六花の変わりようを気にはしているようです。しかしそれを六花が、勇太が、選んだのであるなら、と異論は述べないんですよね。森夏も六花が中二病をすてて実は張り合いなくしている人でもあるのでしょうけど・・・気持ちは凸ちゃんと同じなんでしょうけど。でも六花や勇太が出した結論にむやみに口を挟んではいけない、という想いで凸ちゃんを抱きしめたんでしょう。でも森夏にはやっぱりモリサマーとして凸守と戦っていて欲しい。そのためには・・・

母親が戻ってくるまでに部屋を片付けようと勇太に手伝ってもらう六花。「出しておくとまたきっと心配そうにする、あまり不安にさせたくない」と母親のことを思う六花。六花なりに母親と向き合おうとしているのでしょうが・・・お母さんも別に部屋の小物ぐらい許容してくれるのではと思うのですが。でも六花の中二病は父親の死から目をそむける行為と結びついていると家族の者は思っているのでしょうね。片付けの途中でルガーっぽいピストルを見つけ「お前、こんなものまで持ってたのか」と目を輝かす勇太のシーンを入れてくる辺りが絶妙ですね。そんな勇太にお構いなしに片づけを続ける六花。やっぱりこんなの六花じゃありません。引越ししてきた時に六花が見せていた恐竜型の焼物が出てきたりとか、寂しさをくすぐる演出がいいです。

「でも、あれは車、ヘッドライトの光」以前告白した橋のたもと、コンビニのおにぎりを食べながら川面を照らす明かりをみて綺麗だな、と話しかける勇太にこのセリフで返す六花。「ママが、一緒にお墓参りに行きたいと言ってる。パパのお墓に。どう思う」と聞かれて即答できない勇太。鉄橋を電車が通り過ぎるまでの間をとった後やっと言えたのが「お前はどう思うんだよ」。この辺のしっかり間を取って、しかも電車が通り過ぎるのをタイミングにするという演出は良いと思います。「行けば、ママは喜ぶと思う」という六花の言葉、結局自分がこうしたいじゃないんですよね。「六花がそうしたいって言うんなら・・・」という勇太の言葉、六花はそんな言葉を求めていたんじゃないんですよね。小指をあわせることを求め、そしておにぎりも食べずに先に帰る六花。でもここで勇太を責めるのも酷というもの。勇太も六花のためを思えばこそ。十花さんも勇太に重過ぎる呪縛を施したもんだなぁ。六花が一人帰る途中に怪我したどどめん（猫）を病院に連れて行く（もしくはつれて帰る）くみんに遭遇。ここで挨拶だけで終わったのか、そのあとくみん先輩となにか話をしたのかは描かれず。そういえば今回くみん先輩ほとんど出番なしだっただけに、この邂逅には何か意味があったのか？くみんが変わった六花の事をどう見てるかも描かれていないので、この辺くみんがどう思っているかも気になります。

お墓参りにいく電車を待つ六花。見送りに来ている勇太。「おまえさぁ」と勇太が話しかけたとき一瞬なにかに期待するように目を見開く六花ですが、その後「戻ってくるよな。お墓参り終わったら、こっちに戻ってくるよな」という言葉に表情を曇らせる。本当は「行くな」っていって欲しかったんでしょうか。自分の大事にしていたものを家族とうまくやっていくために捨てようとしているのを止めて欲しかったんでしょうね。好きな人には自分の本質を認めて欲しいものですもんね。ここに登場するのが凸守。みんなが現実と折り合いをつけようとする六花を止めてくれない中、この子だけは違いました！

「待つデス、言った筈デス、諦めないと！マスターのサーヴァントである以上たとえ暗黒界の果てに落とされようと、マスターと共にあるデス！爆ぜろリアル！弾けろシナプス！バニッシュメント・ディス・ワールド」凸ちゃん登場、周囲がセピア色の幻想世界に変わり、巨大なミョルニルハンマーを具現化し六花を攻撃する凸守。しかし現実の壁に阻まれた凸守の攻撃は髪の毛の先のハンマーで六花をぽこぽこ叩くのみ。ひざまつく凸ちゃんですが電車が来てしまい、乗り込む六花。最後に六花と呼びかけられ、その後に続く言葉を期待する六花ですが、勇太は飲み込み笑顔を見せるだけ。六花の欲しかった言葉は聞けず。それを涙ながらに訴える凸ちゃんが泣けましたね。

「どうして言わないの・・・デス。どうして行くなっていわないのデス！マスターはお前に言って欲しいのです。オレが不可視境界線を探してやるって。だから行くなって。・・・マスターはダークフレイムマスターがいたから邪王真眼を守ってこられたといっていたのデスよ。お前が心の支えだったのです。だからダークフレイムマスターが不可視境界線があるといったとき、凸守に電話していたデス。恋人の契約を結んでくれた時も、電話してきたデス。泣いていたデス。マスターは泣いていたデス。あのマスターが、最強のマスターが。お前を信じたのです。なぜ邪王真眼は最強だと言ってあげられないのデス！闇の炎に抱かれろといえないのデス！ずっと、ずっとずっと、ずっとマスターはそれを待っていたのに、何故デス、何故デス！」

「言って、言ってどうするんだよ。あいつを喜ばせてなんになるっていうんだよ。不可視境界線なんてないんだよ。あいつの父親は墓の中なんだよ。オレにはどうしようも出来ないんだよ。あいつがどんなにそれを願おうと、いくら設定を作ろうと、どんなに自分に力があると信じても、ないものはないんだよ！お前の攻撃が一度だって通じたことがあるのか？本当に武器が出てきたことがあるのか？ないんだよ、いくら思っても、いくら信じても、そんなものないんだよ！」

「そんなの、そんなの、分かってるデスよぅ」この顔をくしゃくしゃにして大粒の涙が流れでる凸ちゃんの表情、この泣き顔には負けました。完敗です。凸ちゃんに本気で正論をマジでぶつける勇太も悲しかったですね。勇太の言うことは確かに正論です。凸ちゃんにだって分かってます。だからこそ泣けてくるんですよね。今回はもう凸ちゃんがいとおしくていとおしくてあっという間でした。そしていよいよ最終回。ここで勇太に封印された闇の炎を解き放ちダークフレイムマスターとして降臨して欲しいと願う私は頭がおかしいか？お膳立ては揃いました。後は勇太が六花を迎えに行くだけです！凸守の想いも受け止めてあげてやってください。

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