アニメ 輪るピングドラム 第20話「選んでくれてありがとう」 感想
この物語では冠葉、晶馬、陽毬の食卓シーンがよく描かれます。それは理想の家族の食卓像?しかし彼らが本当の兄弟ではない事が明かされ、真砂子からは「そんな嘘の家族ごっこがいつまでも続くわけがない」と告げられます。この幸せなシーンは「ごっこ」なのか?前回ではゆりさんが「家族のフリから始めるの」そうすれば本当の家族になれる、といって結局多蕗と家族になることが出来ませんでしたが・・・でも、「家族」ってなろうとしないとなれないものなのかもしれません。
眞悧は相変わらず謎の存在です。医師というよりカウンセラー?普段は兄弟思いのやさしい妹の陽毬、その奥に秘められた闇を思い出させようとしている?今回は陽毬に恋のお話をふっかけます。恋について、陽毬は「私だったら追いかけない、疲れちゃうし」と結構世界を諦観しています。眞悧に君は果実を手に入れたいんだ、キスするだけじゃ駄目なんだね?と問いかけられ「キスは無限じゃないんだよ、消費されちゃうんだよ。果実がないのにキスばっかりしていると、私は空っぽになっちゃうよ」と答える陽毬。幼少時の陽毬が捨て猫を見つけたとき、「たぶん最初は可愛がられたんだよ、でもその”可愛い”が消費されたからすてられたの」と晶馬に言ってます。なんか泣けてきました。
高倉剣山が演説で「これが我々の生存戦略なのだ」と訴えます。ピングフォースという秘密結社?のちにキガの会と名前を変えていますが。とあるマンションの一室で行われている会合。まだ幼い時の冠葉と真砂子がいます。真砂子は冠葉のことをお兄様と呼んでいます。ではその冠葉がなぜ高倉家の兄弟になっているのか。もともと高倉家の子供は晶馬だけだったようですね。苹果ちゃんとの会話で晶馬は「罰は僕が受けるべきだったんだ」高倉家の罰は受けなくてはならないとしても、その罰は本当の子供である自分が受けるべきだったと苦悩する晶馬がいました。では冠葉はなぜ高倉家に?主要キャラでまだ過去が語られていない冠葉の物語が待ち遠しいです。
高層マンションで一人佇む陽毬を見つける晶馬。そして捨て猫を見つける二人。その猫の名前はあったかい、お日様みたいな名前は、とサンちゃんと名付けられます。晶馬と陽毬とサンちゃん、ここでも幼いながらも擬似家族の像が描かれます。陽毬ちゃんがペンギン3号をサンちゃんと呼んでいたのは3号じゃなかったからなのか・・・ところがここでも動物禁止のマンションの決まりでサンちゃんはゴミ収集車で運ばれていく、というかたちでこの家族も奪われていきます。「晶ちゃんのせいじゃないよ。選ばれなかったのよ、あの子は。この世界は選ばれるか、選ばれないか。選ばれないことは死ぬ事」悲しむ晶馬にたいして、表情を変えずに淡々と話す陽毬ちゃんを見ていて辛いんですよね。陽毬ちゃんも母親に見捨てられ、一人ぼっちでいたんですね。そして子供ブロイラーに行く事を選んで・・・
「晶ちゃんへ、さよおなら、子供ブロイラーに行きます。今までありがとう。初めて声をかけてくれたとき本当はすごく嬉しかった。あれからね、私は晶ちゃんを待つことにしたんだ。ママは帰ってこなかったけど、私は晶ちゃんを待つことが出来たから寂しくなかったよ。待つってことはつらくない事だって始めて思ったんだ。晶馬ちゃんとサンちゃんと私、家族みたいで楽しかった。だから、このマフラーはもらっていくね。私なにがあっても忘れないよ。晶ちゃんと出会ったことは私の宝物なんだ。だから、もう何も怖くないよ。」子供ブロイラーに送られる子供を乗せた列車(?)の窓から外を眺める陽毬、雪の中置手紙を握り締め走る晶馬。このあたりはかなり感動的なつくりです。透明にされた子供たちが砕かれた残骸なのか、雪のように飛び散る破片のなか必死に陽毬を探す晶馬「透明にされてもこの宝物は誰にも消せないよ。暖炉で燃え残った錫の兵隊の心臓みたいに。だから幸せ。私が世界にいたこと覚えてくれている人がいるんだもん」コンベアで運ばれていく陽毬を見つける晶馬。「地上で最初の男と女の話、私知ってたよ。二人は罰を受けたんだ。生きるってことは罰なんだね。でも罰でも晶ちゃんと一緒にいたかった。だから、選ばれたかった」降りしきる破片の中「運命の果実を一緒に食べよう」「選んでくれてありがとう」
ラーメン屋にて。大勢の子供たちが透明にされているこの世界を赦しておいていいはずがない、と高倉剣山。それはそうでしょうけど、またテロを起こすつもりなのでしょうか。前回のテロでも結局残ったのは犠牲者の苦しみ悲しみだけで何も解決しなかったのに。そして冠葉は陽毬には治療費が必要だ、陽毬を救えるのは俺しかいないと思い込んでいます。後もう一波乱起きるのでしょうか。ラストの陽毬が冠葉と晶馬の為にサンちゃん(ペンギンのほう)と苹果カレーを楽しそうに作っているシーンが余計に悲劇性を高めます。ここ数話の物語の展開は恐ろしいくらい心の奥に響いてきます。それでも彼らの行く末を最後までしっかりと見届けたい!EDは「Private Girl」がまた少し物悲しい感じでいいんじゃないですか?
STAFF
監 督: 幾原邦彦
原 作: イクニチャウダー
キャラクター原案: 星野リリィ
シリーズ構成・脚本: 幾原邦彦・伊神貴世
キャラクターデザイン: 西位輝実
美 術: 秋山健太郎・中村千恵子
色彩設計: 辻田邦夫
編 集: 西山 茂
音 楽: 橋本由香利
音楽制作: スターチャイルドレコード
音響監督: 幾原邦彦・山田 陽
音響効果: 三井友和
助監督: 山﨑みつえ
チーフディレクター: 中村章子
アニメーション制作: ブレインズ・ベース
CAST
高倉冠葉: 木村 昴
高倉晶馬: 木村良平
高倉陽毬: 荒川美穂
荻野目苹果: 三宅麻理恵
多蕗桂樹: 石田彰
時籠ゆり: 能登麻美子
夏芽真砂子: 堀江由衣
(公式HPより参照)
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